プラスチックなどのフィルムの両面にガスの圧力差がある場合、若しくは両面の全体的圧力は等しいが分圧に差がある場合に、分圧の高い側(高圧側)から分圧の低い側(低圧側)にガスが移動する現象が見られます。このようなガスの透過する機構には、2つのタイプがあります。1つは、フィルムに径が1nm以上の孔があって、この孔を通してガスが移動していくタイプ。このタイプの透過は、「毛細管流れ」と言われ、粘性流(ハーゲン・ポアズイユ流)であり、ピンホールのあるアルミ箔やフィルム、あるいは紙などの多孔質の物質を透過するときに起こります。もう一つのタイプは、「活性拡散流れ」と言われるもので、ガス分子が実質的に孔のないフィルムを形成している高分子鎖の熱運動に基づく分子間隙(フリーボリューム)を通して移動していくタイプです。このタイプの透過は、プラスチックフィルム中をガスが透過するときに見られるものです。これら2つのタイプの透過特性で大きく異なるのが、ガス透過係数の温度依存性の違いです。非多孔質フィルムでは、温度が高くなると透過係数が増大しますが、多孔質フィルムでは、温度の影響は非常に少ないと言われています。よって、この特性の違いが、包装材料にピンホールがあるかどうかの判定にも利用できると言う訳です。