昔のラベルや包装紙に描かれている絵などは、写真製版はもとより写真を印刷する技術の発達がなかったため、洋画家などに依頼して描いてもらうという方法が主流だったと言われています。現在でも、当時描かれたと言われる油絵が工場に残っているという会社も少なくないのではないでしょうか。このような絵は現代のパッケージデザインのようにスタイリッシュなものとは言えませんが、とても温かみがあり、レトロな絵筆のタッチに懐かしさを感じる方も多いでしょう。今では農産物の出荷に欠かせないと言える段ボールも普及していなかった頃は、ラベルなどの印刷物なども木箱に入れて出荷していたという時代もあったようです。そのため、不要な木箱をまず買い集める所から、出荷作業を始めなければならず、とても大変な作業であったと言えるのではないでしょうか。もちろんそのまま使用できるものばかりではなく、回収した後は、バールで釘を抜いたり、曲がった釘をまっすぐにしたりしてリサイクルしなければならず、さらには結束用に使用する荒縄も、一回一回結び直さなければならない状況だったようです。当時からしてみればそれが「普通」であったと言えど、とても大変な過程を経て物流が動いていたのだということがわかるでしょう。現在では、デザインから印刷発注、出荷までの作業が分担されているところが多く、ほとんどパソコン一台で全ての流れを動かすこともできるほど流通は進化してきていると言えるでしょう。パッケージデザインもシンプルなものが流行し、かつ生産者などの情報まで盛り込まれた包装の技術というものも目を見張る進化を遂げているのだなと感じられます。鮮度を守ることが第一でありながら、顧客の心を掴むデザインかつ安心安全までも表現できる現代の食品包装はとても素晴らしい努力の上に実現されていると言えるでしょう。