食品を単に包装するよりも、燻製を施した方がより長持ちするという知恵は、古くからありました。日本でも縄文時代には行われていたと言われています。燻製によって長持ちするのには理由があります。一つは、燻製の芳香が食品の生臭い匂いを除去するからです。二つには、燻煙に含まれる成分であるホルマリン、アルデヒドが、食品中の微生物の発生を阻害するからです。つまり燻煙に触れると腐りにくくなるのです。三つには、乾燥が進むからです。燻製には乾燥させる工程が含まれており、水分はほとんど飛ばされます。四つには、燻煙の成分の反応で食品の表面に膜が生成し、外部からの微生物の侵入が防がれるからです。
燻製食品には、燻製に合った包装材が使用されます。そのため、燻液を塗布、噴霧して燻製の効果を再現することもできます。液体は木酢液等で、戦前に開発されました。戦後はGHQの方針で鯨肉が大量に供給されましたが、鯨肉にも燻液は多用されたのです。鯨肉が保存し易くなったことで、日本人の栄養失調は大きく改善されました。燻液は今でも各種肉類の香料や保存料として役立っています。